梨状筋症候群になり、お尻や足の痛みがあるためランニングができない。
走り始めや、ゆっくり走っている時は問題ない。でも、距離が伸びたり、スピード練習になると痛くて走れない。こうなると、フルマラソンを目指す方や、軽くジョギングをしたいという方でも困りますよね。
そんな梨状筋症候群ですが、痛みの原因や、痛む時はランニングをしても良いのかなど気になることが多いのではないでしょうか。
そこで今回は、ランナーの方に知って欲しい梨状筋症候群の原因や対策などについて解説をしています。
梨状筋症候群でランニングができない方は続きをどうぞ。
1 梨状筋症候群でランニングをしても良い?

梨状筋症候群になり、お尻や足が痛い。そんな時、ランニングをして良いかどうかは、痛みの程度によります。痛みが強ければ当然できませんよね。問題は、痛くても走れてしまうという場合。
そういう場合でも、走る距離や、練習の内容はやはり軽めにしたり休むのが良いですね。なぜなら、痛みがある時に無理をして走っていると、結局いつまでも長引くことになるからです。
梨状筋症候群による痛みは、梨状筋だけではなくその他の筋肉に原因があります。そのため、できる限り筋肉を休めてあげるのが良いということなのです。
2 梨状筋症候群による痛みの発生源は?

梨状筋症候群になり、お尻や足が痛い。この時の痛みの発生源は、固まった筋肉にあります。坐骨神経が梨状筋に圧迫されるからではありません。
筋肉は固まってしまうと、筋肉そのものが強い痛みを出すようになります。これは、筋肉痛ではなく筋膜性疼痛症候群と呼ばれる状態。梨状筋症候群でも、ほとんどの場合がこの状態です。
走り始めは良いけれど、だんだん痛くなってきて、止まれば痛みが治まる。これは、走ることで筋肉に負荷がかかり、休むことで負荷がなくなったからです。神経圧迫は関係ないのです。
3 ランニングをすると痛む原因になる筋肉
ランニングをすると、お尻や足が痛くなる。そんな場合に、検査を受けたらヘルニアではないので梨状筋症候群による坐骨神経痛と言われた。
先ほども解説しましたが、こういう場合のお尻や足の痛みは神経が圧迫されるから出るのではありません。そうではなく、複数の筋肉が固まったことで出ます。
具体的にどの辺りの筋肉が原因になるかを解説します。
3-1 お尻の筋肉
ランニングで痛みが出る原因になる筋肉1つ目は、お尻にある複数の筋肉です。

お尻の筋肉が痛みの原因になる
お尻には、梨状筋以外にも大臀筋、中臀筋、小臀筋、股関節外旋筋といったたくさんの筋肉があります。これらが固まってしまうと痛みの原因になるということ。
固まった筋肉を使ってランニングをする。だから痛くなるということですね。
3-2 腰の筋肉
ランニングで痛みが出る原因になる筋肉2つ目は、腰にある筋肉です。

腰の筋肉が痛みの原因になる
梨状筋症候群と言われた場合でも、腰に痛みの発生源があることは珍しいことではありません。
腰の筋肉が固まっている。そしてその状態でランニングをすると、だんだん痛みが増してくるということですね。
3-3 股関節周りの筋肉
ランニングで痛みが出る原因になる筋肉3つ目は、股関節周りにある筋肉です。

股関節周りの筋肉が痛みの原因になる
股関節周りに痛みを感じることは少なくても、ここにある筋肉が原因で足に痛みが出ている方は非常に多いです。
ランニングをする時には、股関節周りの筋肉も当然使います。ですから、ここが原因で痛みが出る場合もあるということですね。
3-4 足の筋肉
ランニングで痛みが出る原因になる筋肉4つ目は、足の筋肉です。

ランニングをしていて、ふくらはぎの外側が痛くなることがあると思います。この場合、腰やお尻、股関節周りが原因のことも多いですが、足の筋肉そのものが原因の場合もあります。
太ももが痛むという場合でもこれは同じ。要するに、痛みを感じる部分そのものの筋肉が原因になっているということですね。
4 痛みの程度に応じた練習量を心がけることが大切

梨状筋症候群の痛みは、固まった筋肉が痛みの発生源ということをお伝えしました。ですから、ランニングをするなら、痛みの程度に応じた練習量にする必要があります。
痛みを我慢して走り続ければ良くなるものではありません。ではどうすれば良いのか?目安を説明したいと思います。
4-1 歩くだけでも痛む
梨状筋症候群によるお尻や足の痛みが、歩くだけでも強くなる。こんな状態の時は、当然ランニングでも痛みます。ですから、思い切って練習は休みましょう。
歩いて痛みが増すということは、症状としてはかなり重い状態。ですから、ウォーキングも、筋トレも休んでください。
4-2 走る時だけ痛くなる
歩くだけなら、お尻や足はあまり痛くならない。でも、ランニングをするとだんだん痛みが強くなる。
こんな場合は、練習量を減らしましょう。走る距離、走るスピードなどを落としてみて下さい。そして、あまり痛みが出ない程度の量で練習してみて下さい。
4-3 走ると痛みが楽になる
梨状筋症候群になっている方で、走ると痛みがだんだん楽になるという方がいます。そのため、治すために走ろうと考えてしまう。ですが、これは間違い。
走ると痛みが楽になるのは、動くことで固まった筋肉が少し緩むからです。これは、良くなったわけではありません。こんな場合も、先ほどと同じく練習量は落とすことが大切ですね。
4-4 痛みが残り1~2割まで良くなっている
梨状筋症候群の痛みが、残り1~2割程度までに回復している。歩く時はもちろん、走っても軽く痛む程度。ここまで良くなったら、少しずつ練習量を戻してみてください。
ただし、一気に練習量を戻すと、強く痛むことがあります。ですから、体を慣らすようなつもりで少しずつ戻すようにしてみて下さい。
5 ランニングで痛くなる場合のセルフケア

ランニングで、梨状筋症候群の痛みが強くなる。その原因は固まった筋肉にありますので、筋肉へのセルフケアが必要ですね。
筋肉へのセルフケアですから、マッサージ、ストレッチ、温めるなどが良いです。ただし、痛みがある状態ですから、やり過ぎには気をつけて下さい。
後から痛みが増すこともありますので、少し物足りないくらいのケアでちょうど良いです。
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6 痛み止めや湿布の効果が期待できるのはこんな時

梨状筋症候群で痛みがある時に、病院で痛み止めや湿布をもらった方もいると思います。ただ、薬や湿布は効く場合と効かない場合があります。
痛み止めや湿布は、消炎鎮痛剤。つまり、炎症による痛みがある時は有効。ですが、固まった筋肉が原因の痛みに対しての効果は期待できません。
夜中に痛みで目が覚めるといった、安静時に強く痛む。これは炎症による痛みなので、そういう場合には効果が期待できますね。
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7 筋肉が原因で走れないならこんな施術もある

梨状筋症候群になり、ランニングをするとお尻や足が痛くなる。または、痛みで走れない。そういった、筋肉が原因の痛みには、筋肉に鍼をするトリガーポイント鍼療法という施術があります。
ツボではなく、固まった筋肉へ鍼の施術をする方法です。ですから、梨状筋のような体の奥にある筋肉でも施術が可能ですし、その他痛みの発生源になっている筋肉なら施術ができるということ。
走るとだんだん痛くなってくる場合、痛みの発生源は筋肉です。その場合には、こういう対策もあるということを知ってもらえればと思います。
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8 梨状筋症候群でランニングができない方へ
梨状筋症候群による痛みのため、ランニングができない。この痛みの原因は、神経ではなく筋肉そのものにあるということを解説してきました。
固まった筋肉が原因で痛みが出る。これは、ケガをしている部分を動かすと痛いということと理屈は同じ。そのため、痛みの程度で練習量を調整しないといけないということですね。
フルマラソンなどの大会を控えている場合、痛くても練習をしたいという気持ちは分かります。ですが、無理をすれば結局長引くのが筋肉が原因の痛み。
ですから、休むべき時は思い切って休む。良くなりかけている時は少しずつ練習する。こういうことが必要なわけですね。
そして、炎症が原因の痛みがある場合は、病院で処方してもらえる薬が必要な場合もあるということ。筋肉が原因の痛みには、専門の施術があるということ。
こういったことを知識として持っておいていただければと思います。
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まとめ
- 梨状筋症候群で痛みがある場合、ランニングをして良いかどうかは痛みの程度による。痛くても我慢して走って良いということではない
- 梨状筋症候群の痛みは、神経圧迫ではなく固まった筋肉に原因がある。そして、それは梨状筋だけではなく複数の筋肉が痛みの発生源になっていることが多い
- 梨状筋症候群でランニングをすると痛む場合は、筋肉へのセルフケアや専門の施術、場合によっては病院の薬が必要なこともある